2012年5月31日木曜日

晩年20年を湯河原温泉に居を移した山本有三


晩年20年を湯河原温泉に居を移した山本有三

「(湯が原にて)何やらん迫りくるものあり冬の山
ふゆ山ぞわが心なれきのふけふ
一枚も原稿を書かず年くるる
一生一瞬に去来すもずの声
餓鬼道か閉じたページをまためくる
今ここで死んでたまるか七日くる」
山本有三「閑居雑吟」より


湯河原温泉は古くから知られてはいましたが、長年秘湯としての見識から
客もまばらな温泉地でありましたが、昭和になり東京から近いこともあり
飛躍的に温泉地として発展し、全国区となりました。

湯河原を愛した文人は、夏目漱石や国木田独歩など数知れませんが、
有三は晩年の20年を湯河原に住まうほどこの地を愛していました。

有三の才能は多岐に渡り、地方周りの役者の経験から劇作家としての評判も高く、
小説では軍国主義を批判するなどの一面も見せていました。
そんな彼の人生観の集大成ともいわれるのが「無事の人」。
昭和48年から新聞連載として湯河原で執筆していた「濁流」は
彼の死去とともに未完となってしましました。

彼の愛した秘湯湯河原。ぜひ訪れてみて下さい。

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